理事長挨拶

 

理事長挨拶

 

 私は23か月の時にはしかが原因で失明した全盲者です。

 私が東京都杉並区にありました国立東京視力障害センター(現在の国立障害者リハビリテーションセンター)に厚生教官として勤務していた時のことです。昭和509月の「点字毎日」に「あぁ悲しい盲老人」(埼玉県の一盲老人より)という投書が掲載されていました。その投書の内容は「自分は毎日つまらない寂しい生活をしています。こんなことなら死んでしまった方がましです。自分の友人もそう言っています」というものでした。そして、その関連記事として「現在(昭和50年当時)関東地区1都6県の中で盲老人ホームが無いのは埼玉県だけである」ということが書いてありました。私はそれまで盲老人ホームという施設にはあまり関心はありませんでしたが、「盲人の為の老人ホームが無いのは埼玉県だけである」ということを知って大きなショックを受けました。と言いますのは関東地区1都6県の中で盲老人ホームが無いのは自分の出身県だけであるという事実を確認したからです。その結果「埼玉県に盲老人ホームをつくるのは埼玉県に盲人として生まれた私の仕事であろう」ということを直感したのです。その後は社会福祉法人日本失明者協会の前身であります「失明者協会」を設立し、埼玉県内外において100円募金運動を実施するなどして自己資金作りを行い、日本小型自動車振興会からの助成金、埼玉県からの補助金、埼玉県市長会からの補助金、埼玉県大里郡町村会などからの補助金や助成金を受けて昭和541979)年3月に180,000,000円にて埼玉県において初めての養護盲老人ホームひとみ園(50名定員)を建設させていただきました。

 それからは物品販売、鉛筆販売、まだ郵便局に持って行っていない年賀状や暑中見舞い等の書き間違い官製はがき、封筒やはがきに貼ってある使用済切手その他を集めることや多くの皆様から寄付金品をお送り頂くなどして、ひとみ園を120名定員にする他、特別養護老人ホームむさし愛光園(80名定員)、むさし愛光園ショートステイ(10名定員)、むさし愛光園デイサービスセンター(20名定員)、むさし愛光園居宅介護支援センター、盲人用グループホームむさし静光園(10名定員)、盲人用グループホーム熊谷ライトハウス(10名定員)、盲人用就労施設盲人ホームあさひ園(20名定員)、盲人用就労施設熊谷ライトハウスリフレッシュセンター(10名定員)を建設させていただきました。

 現在盲老人ホームは全国に50箇所ほどありますが、120名定員の養護盲老人ホームひとみ園は定員規模において我が国最大の盲老人ホームとなっております。

 それにひとみ園には客席240席の本格的な演劇ホールと客席35席の本格的な映画館が併設されています。また、定員19名のカラオケ喫茶もあります。カラオケ喫茶の8月のメニューは、ホットコーヒー100円、アイスコーヒー100円、ところてん150円、あんみつ350円、かき氷雪ふかイチゴ350円、かき氷雪ふかメロン350円、かき氷雪ふか抹茶350円、生ビール(枝豆付き)450円です。

 この他に演劇クラブその他の各種のクラブ活動やりんご狩りその他の各種の行事も実施しています。

 ひとみ園では色々な事情で家庭で生活することが困難な盲老人を受け入れ、それらの方々に毎日を楽しく有意義に過ごして頂けるような工夫や努力をしております。ひとみ園は全国どこからでも入園できる施設です。

 ひとみ園のスローガンは「もう一度青春ひとみ園!」です。

 特別養護老人ホームむさし愛光園並びにその付属施設は主として健常の高齢者の方々を対象としております。希望があれば視覚障害高齢者も受け入れます。

 盲人用グループホームのむさし静光園と熊谷ライトハウスは、18歳以上の視覚障害者の方に自立した生活をしていただくための施設として建設したものです。

 就労継続支援B型事業所の盲人ホームあさひ園と熊谷ライトハウスリフレッシュセンターは、18歳以上の視覚障害者の方々に働く喜びを体験していただく為の施設として建設したものです。

 私はこれからも自分の盲人としての体験を活かして、「視覚障害者にも希望の持てる明日を、病弱高齢者にも希望の持てる明日を」という考えで、施設づくりを推進して参ります。  

 

社会福祉法人日本失明者協会

 

理事長 () () (みき) ()